2022-01-01から1年間の記事一覧

[集合論] Cofinality その2/2(Jech本p.31) .ind { margin-left: 2em; line-height: 2.0; } 次のLemma3.10には一応テキストに証明は付いているが,証明の概略のようなものなのでかなり苦労させられた.以下,テキストの解読結果である.<Lemma3.10> 無限…

[集合論] Cofinality その1/2(Jech本p.31) .ind { margin-left: 2em; line-height: 2.0; } お次はcofinality(共終数)である.定義は割と簡単ではあると思うが,そもそもなんでこんなものを定義するのかという動機は本章では何も書かれていない.ちょろっ…

[集合論] 気づいてしまったシリーズ - の彼方編 .ind { margin-left: 2em; line-height: 2.0; } Jech本を読み進めているが,次のCofinalityの節の証明でJech先生は手を抜きすぎでなかなかのギャップがある.まあ,イントロ的な章なのでこんな手抜き具合なの…

[集合論] Canonical Well-Ordering of (Jech本p.30) .ind { margin-left: 2em; line-height: 2.0; } 本節の最終目標はテキストp.31の(3.14) というシンプルな公式である.この証明のために,クラスの積 にwell-orderingを次のように定義する. おや? この…

[集合論] Alephs(Jech本p.29) .ind { margin-left: 2em; line-height: 2.0; } cardinalはもともとは集合の同値類として定義されているが,その代表元を順序数から選びたいという流れである.ただし選択公理を使った議論は5章を待てということらしい.まず…

[集合論] Cantor-Bernsteinの定理(Jech本p.28 Theorm 3.2) .ind { margin-left: 2em; line-height: 2.0; } Part I 第三章に突入である.冒頭にCardinalityの定義は,正則性公理(基礎の公理)あるいは選択公理を使うとの気になる話があった.選択公理から…

[集合論] Jech本二章章末問題から .ind { margin-left: 2em; line-height: 2.0; } <問題2.7>任意のnormal sequence (i.e. の対応で,増加かつ連続 )に対して,いくらでも大きな 固定点 (i.e. )が存在する.<解> ヒントにあるように適当なから始めて,と…

[集合論] 無限公理が無い時に... (Jech本 p.26) .ind { margin-left: 2em; line-height: 2.0; } 今回の話題は無限公理が無い時にどういうことが言えるかというケッタイなJech本の2章末問題がネタである.<問題2.4(無限公理が無いとき)>0でない最小の極限…

[集合論] Well-Founded Relations (Jech本 p.25) .ind { margin-left: 2em; line-height: 2.0; } 例によって、テキストで引っかかったところをネタにするノート記事である.<well-founded relation>集合 上の二項関係 が次の性質を持つとき、を well-found…

[集合論]気づいてしまったシリーズ - 順序数の減算編 .ind { margin-left: 2em; line-height: 2.0; } いままでさらっと理解したつもりが、ある時気づいてウッとなってしまったことを紹介するコーナーである.今回は、順序数の減算編.さて、順序数の和 は…

[集合論]InductionとRecursion .ind { margin-left: 2em; line-height: 2.0; } タイトルは和訳では、『帰納と再帰』となるだろうか。最近読んでいたどれかの本で(Jech本ではなかった気がする)数学書でもこの2つの用語がごっちゃになってることがあるとの…

[集合論]任意の無限集合は可算無限集合を含む(のか?) .ind { margin-left: 2em; line-height: 2.0; } タイトルの『任意の無限集合は可算無限集合を含む』は選択公理の話題には必ず出てくる有名な命題である。まずダメだとされる証明をあげよう。<証明 Ve…

[数論]高木貞治『初等整数論講義 第二版』第五章ノート その15 .ind { margin-left: 2em; line-height: 2.0; } 最近はめっきり更新間隔がでたらめだが、これは実は次に読もうと思う数学書を物色しているうちにそっちに読み始めてしまっているという単純な理…

[数論]高木貞治『初等整数論講義 第二版』第五章ノート その14 .ind { margin-left: 2em; line-height: 2.0; } §52の問題4から。今回も怒涛の文字密度である。[問題4] : . なのでなるような単項イデアル を探すことになる。例によっての素因数の分解状況の…

[数論]高木貞治『初等整数論講義 第二版』第五章ノート その13 .ind { margin-left: 2em; line-height: 2.0; } §52ではイデアル問題Cに取り組む。問題Cってそもそもなんだったかもう忘れそうになっているので復習。 の左辺の不定方程式を解くという問題で、…

[数論]高木貞治『初等整数論講義 第二版』第五章ノート その12 p.333 附記から。二次体の整数環のイデアル類数を具体例で計算してみようというコーナである。計算で出すというよりは、イデアル類の数を本当に数える戦略。 .ind { margin-left: 2em; line-hei…

[数論]高木貞治『初等整数論講義 第二版』第五章ノート その11 §51はイデアルの問題Bを解決する。 「モ変形」の再登場。定理5.27の証明中、少しギャップがあるので補足する。 からいきなり、がさらっと書かれている。これはとを入れ替えて としたときに、2…

[数論]高木貞治『初等整数論講義 第二版』第五章ノート その10 §50の問題を見ていこう。いやはや、GWで時間があると思うと逆に勉強しなくなりますな。[問題1] を原始イデアルの標準基底での表示、を素因数分解とすると、次は素イデアル分解となる。 . ここ…

[数論]高木貞治『初等整数論講義 第二版』第五章ノート その9 次の§49は二次不定方程式のイデアル論による再論。本テキストの本編の残りはこの話題関連である。キーになるのは対応: である。次の段階で右辺をの整数環の中でイデアル間の関係に翻訳する。こ…

[数論]高木貞治『初等整数論講義 第二版』第五章ノート その8 次の§48のPell方程式は特に目立ったギャップはないと思う。が、p.320の[問題1]は前回のでの計算実験での偶然をまた一つ必然に変えてくれている。[問題1]のステートメントは再録しないが、要点…

[数論]高木貞治『初等整数論講義 第二版』第五章ノート その7 §47の[問題]を続けよう。もうこのセクションの山場は過ぎてしまったようだ。[問題4] とすれば、においても、とするとき、もも単項イデアルである。[解] 問題3と同様とあるが、なので問題1か…

[数論]高木貞治『初等整数論講義 第二版』第五章ノート その6 §47の[問題3]の[例]に進む。先に中身は活用してしまったので、残っているのは基本単数がであることぐらいである。これをテキストpp.312~314の方法に従って、算出してみよう。 まず、Dirichlet…

[数論]高木貞治『初等整数論講義 第二版』第五章ノート その5(しょぼっと解決編) §47の[問題3]の[注意]のハマりを解決しよう。[問題3] とすれば、二次体において、とするとき、もも単項イデアルである。[注意ハマりポイント] ののどちらか片方のみに必ず有…

[数論]高木貞治『初等整数論講義 第二版』第五章ノート その4(ハマり編) §47の問題を続ける。[問題3]の注意でめちゃくちゃハマった。[問題3] とすれば、二次体において、とするとき、もも単項イデアルである。[解] の基本単数をとすると、[問題1]より . と…

[数論]高木貞治『初等整数論講義 第二版』第五章ノート その3 §47で二次体の単数の話題が終わり、直後に怒涛のごとく問題が並んでいる(pp.314-316)。今までは問題の解法の説明もそれなりに親切だったが、5章ではなぜか突き放されることが多いような気がす…

[数論]高木貞治『初等整数論講義 第二版』第五章ノート その2 今回はp.311の[問題3]の下にある[注意]から。これもうっかり油断していると放たれる高木先生のジャブである。 二次体の整数環とそのイデアルについて、一次合同式 は なら、のとき解が存在し、…

[数論]高木貞治『初等整数論講義 第二版』第五章ノートその1 先に本書の記述のスタイルが気に入らないというコメントをしたが、よく考えるとブルバキの『数学原論』が刊行され始めたのが1939年なのであって、『初等整数論講義』の初版は1931年なのでこれはB…

[数論]二次体の整数環の素イデアルをすべて求める(最終回 計算編) 前回の結果を再掲する。 整数環の0でない素イデアルはi) 型のイデアルであり、その存在の必要十分条件はであること。ii) 型のイデアルであり、その存在の必要十分条件は型のイデアルが存在…

[数論]二次体の整数環の素イデアルをすべて求める(素イデアルとは何ぞや編) さて、整数環の素イデアルを求める冒険を続けよう。まず、素イデアルとは何か...いやまあ、なんでこんなことを言ってるのかというと底本での定義はp.287の冒頭に、『イデアル(た…

[数論]二次体の整数環の素イデアルをすべて求める(準備編) ひさびさの更新である。あんまりまとまって数学の勉強をしていなかったのだが、つらつらと高木貞治先生の『初等整数論講義 第二版』を読んでいる。初等整数論講義 第2版作者:高木 貞治共立出版Ama…