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[集合論] Jech本二章章末問題から
<問題2.7>
<解> ヒントにあるように適当なから始めて,と定義し,とすればよいが,初期値に応じてすこし丁寧にやるのが吉である.
この場合はnormal sequenceの増加性より,は単調に増加している(もっとも普通に想定しているケースである).が成立するが,左辺は ,右辺は連続性より であり,が固定点となる.また である.
(ii) のとき:
この場合は が固定点なのでこれ以上何もやることがない.
(iii) のとき:
今度はは単調減少列である.しかし,この場合の集合は最小元を持たないが,これはの整列性に反するので実はこのケースはもともとありえないことになる.
『いくらでも大きな固定点』が存在することも同時に証明されている□
<問題2.11>
(i) かつ
(ii)かつ
(iii)かつ
<解>実は問題を誤解して,任意のに対して,それぞれの等号が成り立つようなを見つけよというより難しい問題を解いてしまっていた.せっかくなのでそっちの解答を紹介しよう.
(i) と書けるので,となるようなを見つければよい.これは簡単で とすればよい.要するにを右から無限に足してやれば,左辺で一つぐらい余分に多いのは吸収されてしまうという理屈である.フォーマルには となる.
(ii) 実はというトンチ解がある.ただ,というケースではトンチ解しか解が無いので無意味というわけではない.しかし,ここでは としてトンチ解でないものを見つけてみよう.(i)の類推から でいけそうである.なので,に右からを掛けると となるので,と全部に潰れていることがわかる.
(iii) トンチ解でないものを,という条件で求めてみる.今回の類推はちょっと悩んだが,である.になっているわけである.一方,になっていてやはり全部に潰れているのだが,この証明にはちょっと工夫がいる.
<補題> 任意の順序数 に対して,
<証明> 超限帰納法による.のとき,で成立している.に対して,でよい.のとき,と帰納法の仮定より で,極限操作により □
の肩にを乗せると,. 補題より が得られるので,とすれば が得られる.□
<問題2.15>(Well-Founded Recursion)
<解>本文での一般化された超限再帰法に比べると,この問題ではなんだか一つ前のデータだけで再帰するケースのようである.ちなみにの引数にがあるのは,順序数の場合と異なり,という集合から逆にをユニークに決めることができないからである.
まず,の唯一性から.条件を満たす関数がもう一つあるとして,という集合の-極小元のひとつをとしよう.極小性から,という集合上ではとは一致しているので,となるが,これはの取り方に矛盾する.
の存在を示す.ところでよくよく見るとJech本では関数といったときは関数クラスを意味している(p.11).しかしながら,定義域が集合上の関数クラスは自動的に集合としての関数になる(∵置換公理により値域が集合となり,分出公理より集合となる).とはいえ,今回は定理2.27のを使うのが早そうである.
を上に順に定義して,に対する超限帰納法を使う.なので証明することは何もない.の場合,ならばなので,で定義すればよい.の場合,なので,で(∵ と考えればよい),同様にで定義すればよい.の選び方に依らないのは一意性からの部分的な定義はすべて共通の定義域で一致しているからである□