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[集合論] Canonical Well-Ordering of (Jech本p.30)
本節の最終目標はテキストp.31の(3.14)というシンプルな公式である.この証明のために,クラスの積 にwell-orderingを次のように定義する.
おや? この定義は整列集合の積に対する順序付け Definition 2.23(p.24)と微妙にmaxの条件があるのが違っている.しかし,なぜこのmaxの条件が必要なのかについては特にテキストではコメントはない.別にwell-orderingであることの証明には障害はない.これが理由かな?と思われるのは,テキストのorderingでは任意のinitial segmentは集合であるが(∵maxの条件で上限が縛られるため),もしDefinition 2.23を採用すると,たとえばなどと第1要素が0でない元のinitial segmentは全て真のクラスとなってしまう.
これに関連して,テキストでのinitial segmentがであるというのもmaxのおかげである
(∵).
さて,をのinitial segmentのorder typeと定義する.
<補題>
またそれは順序同型である.
<証明>
をinitial segmentの表記する.
なのは明らかで,また右辺ではのinitial segmentなので,そのorder typeでもinitial segmentとなり,. 逆向きは今の証明から が出るからである.
残りはがontoであることだが,これは結構悩んだ.まず,を示そう.要するに像は下方向には詰まっているという意味である.なので に対応する元をとしよう.はのinitial segmentなので,の中で対応する順序数をとしよう.ならどちらも同じに順序同型なのに片方がもう一方のinitial segmentになるので矛盾.よって.最後にontoを示す.今見たようにが全部でないとすると,というような上界が存在する(像でない順序数のどれでもよい).は集合なので,も分出公理より集合となるが,それとone-to-oneに対応するは真のクラスなので,矛盾である□
記号の復習として というのは順序数番目の基数であった.
<定理>
まずのとき,で,が,,の昇順に並べられており,全体としてに順序同型であることはよいだろう.よって.さて,をなる最小の順序数としよう.集合としてで単射が入るので明らかに.ここで等号が成立しないという仮定により,.するとで,なるものがある.前回の記事の議論で は極限順序数なので,なるを選ぶ(たとえば).先の議論ではinitial segmentでなので.よって濃度としては.一方で,の最小性から,なので矛盾である(最後の不等式はが基数かつであることを使った)□
この定理の系として
がでる.証明を補足しておく.
<証明>
と仮定しておこう.と上の定理より,.もとより適当な包含写像により なので(∵和から積に入れるには とか), □
この節の最後のコメントとして,基数のベキについては選択公理が無いとですら整列集合にできるかどうかわからないとのことで,5章を待てとある.