素数全書 練習問題1.14

正整数nの因子の数をd(n)とするとき、任意の\epsilon>0について、d(n)=O(n^{\epsilon})を証明せよ、という問題であるがなかなか不思議な結果である。ヒントに沿って考えてみる。


pを素数として、q=p^kとする。このときd(q)=k+1である。d(q)=k+1>q^{\epsilon}=p^{\epsilon k}を満たすpとkを考えると、kを動かすと右辺が指数関数であるのでpを固定するとkに上限があり、また、pに関して右辺は単調増加(して発散)するので、pが大きくなるとその上限は小さくなる。よって有限個のp,kの組み合わせでしか、この不等式を満たせない。□


次に一般のnを考える。nを素因数分解して、n=p_1^{k_1}p_2^{k_2}\cdots p_N^{k_N}とする。q_i=p_i^{k_i}と置くと、d(n)=\prod_{i=1}^N d(q_i)である。
与えられた\epsilonに対して、ヒントの例外的なqを除くと、d(q_i)\le q_i^{\epsilon}となり、これの辺々をiについて積を取ると d(n)\le n^{\epsilon}が導ける。qが大きくなると、d(q)<< q^{\epsilon}となっていくため、これはどうやら d(n)=o(n^{\epsilon})である。


厳密に証明してみる。まず、どんな小さな正の数Cに対しても、素数P(C)が存在して、k≧1なる任意の正整数kに対して、p≧P(C)ならば[tex:k+11]を選ぶと、すべてのiに対して、[tex:d(q_i) (P\sharp)^K]なる任意の正整数xに対して、xを素因数分解すると、

1)p≧P なる素因子pが存在する。

2) xの因数分解における素因子pのベキの数kがKより大きい

の少なくとも一方が成立する。そのようなpに対してq=p^kとすると [tex:k+1