素数全書 練習問題1.15

まず、E=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{M_n}(ここにM_n=2^n-1)の収束性について。帰納法により n≧2ならば 2^{n-1}<2^n-1が示せるので、E=1+\sum_{n=2}^{\infty}\frac{1}{M_n}<1+\sum_{n=2}^{\infty}\frac{1}{2^{n-1}}=2となり、上に有界であるので収束する。□


さて、d(n)の母関数G(x)=\sum_{k=1}^{\infty} d(k)x^kを考える。
前問1.14から、十分大きなkに対しては [tex:d(k)n]

の場合がある。2)と3)の場合の数は同じなので、2)の場合を二回カウントすればよい。
1)の場合は、\sum_{m=1}^{\infty}x^{m^2}、2)の場合は \sum_{m=1}^{\infty}\sum_{k=1}^{\infty}x^{m(m+k)}に対応している。xのベキk=mnを固定した場合、2)のケースの寄与を2倍して加えることで、母関数が再現でき、G(x)=\sum_{m=1}^{\infty}x^{m^2}+2\sum_{m=1}^{\infty}\sum_{k=1}^{\infty}x^{m(m+k)}が成立する。

二項目の和は\sum_{k=1}^{\infty}x^{m(m+k)}=x^{m^2}\frac{x^m}{1-x^m}となるので、結局
G(x)=\sum_{m=1}^{\infty}x^{m^2}+2\sum_{m=1}^{\infty}x^{m^2}\frac{x^m}{1-x^m}=\sum_{m=1}^{\infty}x^{m^2}\frac{1+x^m}{1-x^m} となる。x=\frac{1}{2}を代入すれば、E=G(1/2)=\sum_{m=1}^{\infty}\frac{1}{2^{m^2}}\frac{2^m+1}{2^m-1}。□

定数EはErdős–Borwein定数と呼ばれ、その値は1.60669515241529176378...である。

ちょこっと計算によると、小数点以下20桁まで正しい値をだすには、定義式では69項まで、d(n)を使う公式では71項まで必要であるが、3番目の公式ではわずか 8項で済む。
この事実の大雑把な説明は 20ケタ/log_{10}2≒66項程度となる。一桁ちがうと3項程度違うのでまずまずの評価である。
Mersenne primeに限った和の42項目の\frac{1}{2^{25964951}-1}を同じように評価してみると小数点以下-log_{10}(\frac{1}{2^{25964951}-1})\approx -log_{10}(\frac{1}{2^{25964951}})=25964951\times log_{10}2\approx 7816229桁程度となる。