駆け足で有限群を見てみよう

私が計算群論にはまり込んでしまう前に企画していたのが、鈴木通夫氏の講義録
駆け足有限群を見てみよう
を解読してみようというプランであった.が、私の力不足で企画倒れになりそうなので当面は実現しそうにない.
準備の部分はともかく、第二章以降はマシュー群もろくに勉強していないのにあまりに無謀である.しかし、すごくよさそうな文献なので、やはりここで紹介しておきたくなった.(計算群論がなんとかなればFT定理への道の一歩として、第一章をこの場で解説してみようかという色気もあったり...)
ついでというと怒られそうだが、ネタとして参考にさせていただいている五味健作氏の
有限単純群の分類
もぜひ読んでいただきたい.こちらは別冊数理科学に掲載された読み物である.
Thompson, Gorenstein, Aschbacherの三氏の活躍には胸躍るものがある.数学の世界でこのような世界中の数学者を巻き込んだビックプロジェクトが成就されていたことをこのブログを始めるまでまったく知っていなかったのはちょっと残念である.五味氏の記事にはあまり書かれていないが、プロジェクトリーダのGorensteinの人間力というべきものが非常に重要な要素であったようである.このあたりのドラマは、

Symmetry and the Monster: One of the Greatest Quests of Mathematics

Symmetry and the Monster: One of the Greatest Quests of Mathematics

で触れられているが、ちょっと食い足りない感じである.この本はモンスター群のネタにと思って読んでみたのだが、半分まではガロアに始まる群論の歴史といったお話であり、残り半分のモンスター群に向かう話も一般向けすぎて、もうちょっとだけつっこんだ内容にしてほしかった.群論の一般向け解説も人間ドラマの部分もどっちつかずである.これがサイモン・シンだったらなぁ...