p-covering group of G と immediate descendant

p-covering group G^{*} のある性質をみたす部分群とGのimmediate descendantとに対応があるというのがG^{*} を導入したミソである.

Theorem


有限p-群Gをd-generator かつ exponent-p class c とする.


このとき任意のGのimmediate descendant Hに対して,R/R^{*}の真部分群Mが存在して,
H \simeq G^{*}/M かつ  M P_c(G^{*})=R/R^{*}


逆に  M P_c(G^{*})=R/R^{*} を満たすR/R^{*}の真部分群Mに対して,G^{*}/MGのimmediate descendantとなる.

R/R^{*}の(真)部分群Mは,R/R^{*}G^{*}の中心に含まれているため,自動的にG^{*}正規部分群となっている点に注意.
まず前半部分.Gのimmediate descendant Hとは,d-generator p-群HH/P_c(H) \simeq G かつP_{c+1}(H)=1 となっているものであった.
P_{c+1}(H)=[P_c(H),\quad H]P_c(H)^p=1であるから P_c(H)はelementary p-群でかつ H の中心に含まれる. これはG^{*}の普遍性に出てくる条件を満たすため,全射準同型\phi:G^{*} \to Hが存在して,次の可換図式が得られる.M=Ker \phiとした.
\begin{matrix} &&&& 1 \\ &&&& \downarrow \\ &&&& M \\ &&&& \downarrow \\ 1 & \to & R/R{*} & \to & G^{*} & \to^{\pi} & G & \to & 1 \\ & & & \quad \quad \phi & \downarrow & & \parallel \\ 1 & \to & P_c(H) & \to & H & \to_{f} & G & \to & 1 \\ &&&& \downarrow \\ &&&& 1 \\ \end{matrix}

この図式をたどれば,\phi(R/R{*})=P_c(H)がわかる(five lemma の類似である).また,\pi(M)=f\circ \phi(M)=1より M \le R/R^{*}G^{*}の性質より P_c(G^{*})\le R/R^{*}であったから, M P_c(G^{*})\le R/R^{*}.一方,P_cの性質より,\phi(P_c(G^{*}))=P_c(H)であるから,\phi(R/R^{*})=P_c(H)と合わせれば, M P_c(G^{*})=R/R^{*}を得る(R/R^{*の任意の元に対し,\phiで送ったときに一致するようなP_c(G^{*})の元が存在し,その差はKer \phi=Mの元となる).Mが真部分群でなければならないのは,M=R/R^{*}であると1=\phi(M)=\phi(R/R^{*})=P_c(H)より,Hがimmediate descendantであることに矛盾するからである.
後半は,H=G^{*}/Mとして,次の図式を考える.
\begin{matrix} &&&& 1 \\ &&&& \downarrow \\ &&&& M \\ &&&& \downarrow \\ 1 & \to & R/R{*} & \to & G^{*} & \to^{\pi} & G & \to & 1 \\ & & & \quad \quad \phi & \downarrow & & \psi \downarrow \\ 1 & \to & P_c(H) & \to & H & \to_{p} & H/P_c(H) & \to & 1 \\ &&&& \downarrow \\ &&&& 1 \\ \end{matrix}
ここに\psi=p\circ \phi \circ \pi^{-1} と定義するが,これがwell-defined なのはP_c(H)=\phi(P_c(G^{*}))=\phi(M P_c(G^{*}))=\phi(R/R^{*})であるからである.また,この等式から P_c(H)\neq 1が出る(もしP_c(H)=1ならば,R/R^{*}=Mとなり,Mが真部分群であることに矛盾する).またP_{c+1}(H)=\phi(P_{c+1}(G^{*}))=1であるから,残るは\psiが同型であることを示せばよい.まず,全射であることは\phip全射であることから直ちに従う.次に単射であることを示す.\psi(g)=1, \quad g\in Gとしたとき,\pi全射なので,g^{*}\in G^{*}が存在して,g=\pi(g^{*})となるが,p \circ \phi(g^{*})=\psi \circ \pi(g^{*})=1より,\phi(g^{*}) \in Ker\quad p = P_c(H)=\phi(R/R^{*})となるが,これはg^{*}が,R/R^{*}Ker \phi=Mの積でかけることを意味するが,M \le R/R^{*}であったから結局のところg^{*}\in R/R^{*}となり,g=\pi(g^{*})=1.以上で証明はおしまいである.
この定理の意味するところは,immediate descendantを探したければ,R/R^{*}の部分群を探せということである.R/R^{*}はelementary p-群であるから構造はよくわかっているのである.