素数全書 練習問題1.10、1.11

まず、N以下の正整数で、有限素数q_1,\quad q_2,\cdots,q_nのいずれかで割り切れるものの数が\sum_{i=1}^n [\frac{N}{q_i}\-\sum_{i0.22857\cdots]である。


さて、後半。\mathcal{S}の逆数の和が発散するとして、\mathcal{S}の任意の有限部分列\mathcal{S}'を作ると先の議論と同様にして、\mathcal{A}の漸近密度がe^{-S'}で抑えられることがわかる。S'\to \inftyにできるので\mathcal{A}の漸近密度は0である。


最後の部分。この問題のキモは、


{2つの互いに素な整数の二乗和で書ける整数}⊂{全てのmod 4で3になる素数で割り切れない正整数}


が成立していることで、これを認めると『mod 4で3になる素数の逆数の和は発散する』を既知として『全てのmod 4で3になる素数で割り切れない正整数』の集合の漸近密度が0になるため、より小さな『2つの互いに素な整数の二乗和で書ける整数』の集合の漸近密度が0になることがわかる。


さて、先の包含関係を証明する。2つの互いに素な正整数をa,bとしてa^2+b^2の任意の素因子をpとする。このときp=2あるいはp\equiv 1(mod\quad 4)が証明できればよい。
まず、b\not\equiv 0(mod\quad p)である(∵そうでないとaとbは共通の素因子pを持ってしまう)。そこで mod pの世界ではbは逆数を持ち、x\equiv ab^{-1}(mod\quad p)なる正整数xが存在する。さらに、

x^2+1 \equiv  b^{-2}(a^2+b^2) \equiv 0 (mod\quad p)

であるから、x^2 \equiv -1 (mod\quad p)となり、p≠2ならば xのmod pの世界での位数は4となる。一方で、mod pの世界の可逆元のなす群の位数はp-1であったから、有限群論での『有限群Gの部分群Hの位数はGの位数を割り切る』というラグランジュ(Lagrange)の定理から、4\mid (p-1)すなわち p\equiv 1(mod\quad 4)が証明された。□


問題1.11については、すでに1.10の真ん中あたりで証明した結果をそのまま使えばよい。