Awodey『圏論』第7章その2(7.9から)
p.201の真ん中あたりの依存型理論について少々.一つの例をあげると、型INTの整数nに対してそのn次元整数ベクトル(配列)を返す関数vを考えてみる.引数に対応して値域の型がになっているので、vの型はどうしたもんかということになる.Xを型INTとして、Aの型は余積 (ここに)と考える.するとvの型は と考えてよさそうである.型理論のCatでのモデル(p.156)を作りたいようなのだが、vの型 を基本型とするようなモデルであり、かつ元の依存型でない型理論のモデルとの対応があるようなものを作れないかというのがどうやらここでの動機らしい.その答えはで与えられるのだが、なんでこれなのかとつらつら考えた.任意の型Yに対して、をの元の全てを の0に写像する射を考えると、をに埋め込むことができ、かつ、射もの射に埋め込むことできる.この対応は関手になっていて、また充満かつ忠実である.つまり、はの拡大モデルになっているのである.
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てつさんの指摘分
http://tetsuro-memo.blogspot.jp/2016/01
でほぼ尽くされていますが、いくつか補足を。
・p.198 真ん中あたり
誤『の逆像は同型である』
正『のFでの逆像は同型である』
原文『the preimage of is an isomorphism』
訳が間違っているわけではありませんが、読んだときちょっとひっかかりました。ちなみにその逆像が同型なのは、が同型だからです.
・p.201 下から11行目
誤『径数に従って』
正『パラメータに従って』
原文『in a parameter .』
『係数』の誤字なのかもしれません.
・p.201 下から8行目
誤『これらはモデル化でき、対象としてスライス圏の中、圏の対象としての(閉じた)型Xの上にある.』
正『これらは対象として、圏の対象として解釈された(閉じた)型Xの上のスライス圏の中にモデル化できる.』
原文『These can be modeled as objects in the slice category over the interpretation of the (closed) type X as an object of a category .』
誤訳っぽいのでちょっと変えてみました.
・p.203 8行目(てつさん指摘分)
誤『Uは有限かつ閉と共通部分をとると』
正『Uは有限であり、(有限の)共通部分の演算で閉じているので』
原文『since U is finite and closed under intersections,』
一般にはフィルターは無限積では閉じていないので...細かいことですが...
・p.203 10行目
誤『しかし、このときかつとなる.』
正『しかし、このときなのでとなる.』
原文『But then and so .』
ロジックとして"so"を訳し落とすと気持ち悪いです.
・p.203 11行目
誤『がを意味するため』
正『がを意味するため』
原文もミスプリだと思います.